2023年 年賀状シールラベルの仕様について
明けましておめでとうございます!
例年当社の年賀状は、前年挑戦した新たな技法や新しく導入した設備の特徴を盛り込んだ仕様のラベルを貼ったものになっており、今年の年賀状も2022年の総括をふんだんに盛り込んだ内容になりました。是非お手元の年賀状を参照頂きつつ、以下の解説をご覧頂けますと幸いです。
2023年の年賀状ラベル全景
【有限会社エイコー印刷 2023 年賀状ラベル仕様詳細】
用紙:リンテック株式会社 様 グロス PW 8R
ラミネート:リンテック株式会社 様 PET25 PLシン 7LK
印刷仕様:オフセット4色カラー+箔押し
印刷線数:SCREEN fairdot2/AM65線(ハイブリッドスクリーン)
箔材料:堀金箔粉 レインボー箔
箔版:株式会社SakaePlus 様 銅版 ザラピカ仕様(ツヤとサンドマットのコンビネーション製版)
抜き型:有限会社日伸製作所 様 ゼンマイ刃
昨年のメイントピックは何と言っても高精細網点fairdot2を搭載したCTP(製版機)と新たなワークフローEQUOSの導入でした。
SCREEN PlateRite FX870N-EとEQUOSを搭載したサーバー
カラー印刷部は新しく導入した高精細網点fairdot2で印刷。
通常の網点が丸や菱形の羅列で表現される一般の網点(AM)とは異なり、fairdot2は細かな砂目のような網点形状になるため写真の細かなディティールの再現が可能になりました。理論値ではAM350線相当になります。
今回採用したうさぎの写真は鼻の位置にだけピント焦点が合っており、周囲は一眼レフならではのボケ感が表現されたものになります。
オフセット印刷完了の状態
一見すると普通に写真を印刷したように見えますが、一般的なAMの網点で印刷するとのっぺりとした平たい表現になりがちな写真表現になります。こちらをfairdot2で印刷することにより、うさぎの毛の質感やピンぼけしている中にあってもヒゲの張りや毛の流れに至るまで細かな表現に成功しました。
最もピント焦点の合っている鼻と口の部分を拡大すると、毛穴や毛の生え方が表現されていることが分かります。
うさぎの鼻・口まわりの拡大写真
写真下部の白い絨毯の中にあえて白の抜き文字で説明文を入れ、白色が混じった淡いグラデーションの中に肉眼で判読出来るかトライ。
文字に食い込んでくるような細かな網点で再現に成功しました。なお文字サイズは5.4ポイントです。
fairdot2による薄い白の混じったグラデーションへの抜き文字表現
EQUOSに搭載された新しい機能「マルチスクリーニング」についても盛り込みました。
これは、特定条件の指定をすることで異なる網点を同一版上に作り分けることが出来る機能になります。今回の年賀状では写真をfairdot2、2023年の年号表記をAM65線の平網で分けています。
繊細な写真表現と相反する粗い網によって力強い文字表現を目指しました。
文字部のみがAM65線。文字の際から網点のパターンが変わっている。
fairdot2とAM65線の混在。完全に表現の異なる網点で構成されていることが分かる。
今回は箔押しにも非常にこだわり、昨年初めて実際の製品で納入したSakaePlus様のザラピカを採用。
箔のツヤとマットが混在する版面の特殊加工なのですが、うさぎのシルエットや文字の変化をしのばせた楽しい表現となりました。
実際の製版データ。K100がツヤ、グレー部がマットで作られるように指定して入稿。
実際に箔押し加工を施すとこのように立体的な風合いが出てきます。
3号金箔を押した状態
初期に検討していた仕様では、一般的な3号金箔、もしくは他のカラー箔を押す予定にしておりましたが、実際押してみると少し物足りなさを感じまして…。
メタリックグリーンやツヤ消しのシルバーなども加工してみたものの、いまいちしっくり来る色が無く悩んでいると、立ち会った一人がおもむろに「ダメ元でこれ押してみようよ」と持ってきたのがコチラ。
堀金箔粉 レインボー箔
ちょっと流石にこれは厳しいんじゃないかと思ったのですが…
試しに押してみたところデザインにベストマッチ。満場一致でレインボー箔に決まってしまいました。ランダムな柄なので、1枚として同じグラデーションが無く、面白い表現になりました。またレインボーのグラデーションがザラピカの効果をより立体的に見せることに一役買ってくれました。
かくして弊社の2023年 年賀状ラベルは完成。丁寧にはがきに貼って皆様に郵送させて頂きました。
本年も挑戦的な仕事に積極果敢に取り組み、技術を磨いて参りたいと思います。
旧年同様のお引き立てを賜りますよう、どうぞ宜しくお願い致します!