シールの専門家が教えるロゴシール・ステッカーの効果的な作成方法
良く見かける会社やサービスのロゴシールですが、「ただ何となくロゴを印刷したもの」を安易に作っていませんか?案外気づかれていないのですが、実はロゴシールはその会社やサービスを表現する広告の役割を担っています。
つまり、本来金額の安さだけを追求して仕様を決めるのではなく、
・貼られている期間キチンと広告として機能する仕様
・ロゴを適切な印刷方法で費用対効果良くキレイに魅せる
・与えたい印象によって特殊効果を演出してみる
ということをキチンと考えて仕様を決める必要がある大切なプロモーションツールなのです。
折角貼られているのに見た目にチープな印象を与えていたり、ボロボロに劣化してしまっているシールを私も良く目にします。
サービスの内容は別にしても消費者やサービス利用者が特別感やサービスを使うことに誇らしさを感じてもらえず、折角作ったシールが残念な影響しか及ぼしていないとしたら、とても勿体ないことですよね。
ちなみに私がロゴシールで素晴らしいと思っている代表格は、Apple製品を買うとついてくるロゴシールです。シンプルなデザインではありますが、実は車の外に貼っておいても長期間に渡って美しい状態を保てるタフな仕様になっています。
いつ、どんな環境下で目にしても美しいロゴのフォルムを保ち続けていられる仕様には、ロゴをとても大切にするという姿勢が見て取れますね。
また、手に取った時の高級感を演出するためだと思いますが、本来捨てるだけの剥離紙ですら、紙ではなくわざわざフィルムに変更するほどのこだわり。
ここまでこだわれば、完璧です。ブランドを愛するユーザーからすればどこに貼ろうかとワクワクしながらこだわりの場所に貼ってくれるはず。
皆様のサービスを選んでいるユーザーは、とても審美眼が優れています。
細かな点までこだわって作り込むめば、“このブランドを保有している”という優越感を持ってもらえる最高の販促ツールとなるのです。
流石にアップルの程のインパクトを与えるのは至難の技ですが、折角お金をかけてロゴシールを作るのであれば、ユーザーに喜んでもらえるようなものであって欲しいですよね。
私達はそんな思いをカタチにするお手伝いが出来ればと思っています。
というわけで、今回は今まで何となく作られてきたロゴシール・ステッカーの効果的な作成方法についての考え方をご紹介していきたいと思います。
このページでご紹介している内容
シールが役割を終えるまでキチンと仕事をしてもらう
シールを構成する材料選定について
とてもシンプルなことですが、シールに求める役割や貼られる対象によって材質や粘着剤の構成が大きく変わってきます。
イベントでのバラマキ用途、サービス利用者へ向けた配布物、PC背面、車やバイクのヘルメットやボディー、店舗のガラスなどシーンによって求められる環境適正が大きく異なってきます。
こちらでは様々な用途ごとのオススメ材料構成をご紹介していきます。
イベントなどで大量に配布。短期的に貼られる用途の場合
ツヤのある紙(ミラコートなど)の強粘再剥離粘着タイプがオススメです。
高級感の演出や軽い水濡れから守ってあげるなどの機能性を持たせるとしたら表面にPPなどのラミネートを追加すると効果的です。
ただし、紙+ラミネートの場合は注意が必要です。紙のシール素材とフィルムラミネートを組み合わせた場合、水濡れに対して表面は強いですが、貼り付けた側面からの浸水は防げません。
濡れそうな場合はフィルム材料を選択するほうが無難でしょう。また、紙材料の場合、保管環境の微妙な湿度の変化に反応してシール自体がカールして曲がってきます。
コレは、湿気によって反ってしまう紙材料と、湿気の影響を受けないフィルム材料の性質の違いによって起こる現象なのですが、実はフィルム材料であっても剥離紙は紙ベースであることが殆どなので、残念ながらこの現象を完全に無くすことは難しいのです。
貼ってしまえば問題は無いものの、配る時にじんわり反っているとそれだけで見た目が悪くなってしまうもの。配布する前日まで重しを置いたり、クリアケースや板紙に挟んで保存するなど平たくする処置をして配布に臨まれることをオススメします。
フィルムのシール素材へのラミネート加工で軽減出来る現象とはいえ、予算が高くなりがちなので大量に配布する場合はネックになってきます。
手軽に上質な雰囲気を出したい場合
それほどコストも高くなくオススメできる加工がマットラミネート加工。最近ちょっと流行っている人気の加工です。
文字通りシール表面にツヤ消しのフィルムを貼り合わせる加工なのですが、これが案外奥が深いのです。
一般的に安価なマットラミネートはPP素材のものですが、PPはフィルムの中でも伸縮性が高いため、他の材料との兼ね合いでカールが発生しやすい面があり、また素材自体の耐候性がそれほど高く無いので屋外での長期使用にはあまり適さないという特性があります。
やや値段は張りますが、より長く使ってもらいたい。という思いがあればマットPETラミネートがオススメです。
見た目の質感にそれほど大きな差異はありませんが、長く貼られることを想定するのであれば、コスト比較の見積を取ってみるのも手だと思います。
マットラミネートの特性上、本来シールの印刷色が若干くすんだ風合いになるのですが、「若干マットにしつつも色調には上質感を漂わせたい」というご要望には半ツヤのマットラミネートフィルムが素晴らしい風合いを演出してくれます。
最も効果を発揮するのは、箔押しやメタリック調の材料(金銀フィルムや金銀ホイル紙など)や黒、紺、深緑などの深みのある色調への加工。
光らせたい部分は鈍く光り、深みのある印刷色もしっとりと味わい深いマットな仕上がりとなります。更に高級感を表現したければ、マットラミネート上に箔押しを施すこともオススメです。
マット感のある印刷の上にキラリと光る箔押し部。艶のコントラストは目立たせたいロゴがある場合には最高です。ただし、箔には耐候性がありませんので、使用環境にはご配慮を。
1色刷り+ツヤシルバー箔の上にマットラミを施した実例。
鈍く光るシルバーはまさしく燻し銀。ラミネートの上に箔を押すと、箔部分のみがキラキラ光る仕様となります。
屋外の直射日光や雨風に晒されるステッカー
車や窓、屋外の什器などに貼る場合、通常の印刷インキではあっという間に退色してしまいます。またフィルムを使っていたとしても、ユポなどの合成紙やPP素材には大した耐候性がなく、劣化とともにヒビ割れを起こしてしまいます。
このような環境の場合、最も推奨したい素材は「塩ビ+PETラミネート」の組み合わせです。
印刷インキも「超耐候インキ(SRインキ)」を指定しましょう。塩ビ素材は雨風に晒されても劣化しにくく、多くの屋外ステッカーで実績がありますし、粘着タイプも強粘着、強粘再剥離、超強粘再剥離など種類が多いので用途に応じて多彩なカスタマイズが可能です。
印刷インキは雨に濡れた状態で直射日光に当たると、耐候インキであっても普通のインキと同じレベルで退色してしまうためラミネートで保護してあげる必要があります。
長期に渡って貼る場合、先述の通りPPではヒビ割れてしまいラミネートから浸水する可能性があるため、耐候性の高いPET材料を用いることが望ましいです。しかしながらシール印刷は印刷方法の特性上、インキの厚み(膜厚)がそれほど無いため、超耐候インキ+PETラミネートの組み合わせであっても直射日光下で色調を保持できるのは3ヶ月〜半年程度と言われています。(完全に色が飛ぶわけではなく、褪せ始めるという意味です)
それ以上の期間貼り続ける場合は、以下の方法を検討するべきでしょう。
1.超耐候ハードラミの選択
UVカット率99%以上のハードコート層を持ったPETラミネート材です。
こちらは紫外線を通さないだけでなく、サンドペーパーなどで擦っても傷が入りにくいスグレモノです。コストは高いですが、使用環境が厳しい場合はオススメです。
2.シルク印刷にする
Tシャツなどに印刷する方法と同じ印刷方式です。
インキを非常に厚く盛れるため、通常のPETラミネートでも退色しにくく、色も濃くハッキリと印刷できます。ただ、生産速度が遅く、手間が非常にかかるので数量が増えてくるとコストも非常に高くなってきます。
3.オンデマンドプリンターで印刷する
少量でフルカラー印刷をしたい場合は、オンデマンド印刷も効果的です。
オンデマンドと言っても一般的な家庭用プリンターとは異なり、ここでは看板やサイン関係で使われる業務用プリンターでの印刷を指しています。直射日光下でも3年程度色調を保持すると言われています。
4.カッティングシートにしてしまう
実は塩ビ素材には「色塩ビ」と呼ばれる素材があります。色のバリエーションは、黄色・赤・青・緑・黒の5種類。
これらに印刷することも勿論可能ですが、塩ビをカットしてロゴやテキスト形状を作ることで、カッティングシートにしてしまうのも良いでしょう。
コストとしては高価ですし色調も選択の余地がありませんが、材料自体の色味は非常に持ちが良く、表示したい部分意外は貼り付け対象が露出しますので見た目にも綺麗です。
超耐候ハードコートラミを施した実例。長期屋外暴露と浸水を繰り返す環境に貼るラベルに採用されました。
ロゴを目立たせるために特殊効果で加飾する
”ちょっと変わってる!”を演出する方法
折角作るのに普通のシールではちょっと物足りないな…という方にオススメの特殊加工・特殊素材をご紹介致します!
特殊な手法はそれなりにお値段も張るものですが、中でもオススメのものをいくつかご紹介します。
特殊加工追加した場合のコスト感も5つ星で記載してみましたので、是非参考になさって下さい。
エンボス加工(コスト感:★)
コスト的に最も導入しやすい加工がコチラ。ロゴや罫線などを浮き出させたり押し込んだりすることで風合いを演出する加工のことで、浮き出す方をエンボス、押し込む方をデボスと言います。(とにかく表面を凸凹にする方法を全てエンボスと呼びがちですが、正確にはコレです。)
デボスは板紙のようなものには加工できますが、シールのような薄物ではあまり効果が出てきません。なので基本的にシールでは浮き出せるエンボス加工を行うのが一般的です。
コスト面では加工用の金属板と少し工賃が加わるだけで行えるため特殊加工としては非常にお手頃。柄が複雑でない厚手の紙やエンボス用のホイル紙で特に効果を発揮しますが、一部コシのない和紙などでは効果が期待できないことも。
次に紹介する箔押し加工した部分にエンボスを組み合わせると目立たせたい場所が際立つため、より効果的です。
ただし、細かいさきや細かい柄は浮き出しが表現しにくいため、浮田多世帯場所は思いっきり大胆にサイズ感を出すことが目立つポイントです。
箔押し加工(コスト感:★☆)※特殊箔の場合を除く
金箔やツヤ銀箔などに代表される箔によって加飾が出来るメジャーな加工です。
箔は沢山の種類がありますが、当社で一般品として取り扱っているのは3号金箔とツヤ銀箔。
それ以外の色目については基本的に材料一本買いとして御見積させて頂くため、コダワリがダイレクトにコスト高に繋がってきます。(それでも拘られたい方にはオススメです!)
ちなみに一本買いするとなると、色目によって異なるものの+¥15,000〜となってきます。
カラー箔から顔料箔、ホログラム箔まで多彩にラインナップがございますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
リオトーン印刷(コスト感:★★)
シボ感が出ている部分がリオトーン加工部。手触りがザラザラしていてつい触ってしまいます。
こちらは印刷した部分が乾燥すると縮んでシワになるという特殊なインキで加工を施します。任意のデザインをザラザラした手触りに出来るので、つい気になって何度も触ってしまいます。
マット感のある透明インキなので白色材料の上では効果が見えにくいのですが、ゴールドやシルバーの上に用いるとマットとツヤのコントラストで際立った視覚効果を発揮します。
コート紙や白色フィルム上で隠し効果として手触りの演出をするのも楽しいかも。
シールで名刺を作って、名刺交換の際に相手触る部分にのみリオトーンを施すというのも、話題性を作る仕掛けとして良いかもしれません。
裏面(剥離紙面)印刷(コスト感:★★☆)
表にロゴを印刷。裏に詳細情報を記載したステッカーの一例。
文字通りシールの剥離紙面に印刷する加工です。
イベントのスケジュールやQRコードなど、多彩な情報を盛り込めるとっておきの仕様です。
実は剥離紙には印刷適性のあるものと印刷適性の無いものがあります。
印刷適性の無い剥離紙への印刷は基本的にNGなのですが、今までの当社の経験上、基本的に引っ掻いたりテープなどがくっついたりすることがなければ極端に印刷情報が欠損するようなことはありません。
ご要望があれば、ノークレームを条件にお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。テスト用サンプルもご用意しております。
ホログラム用紙への印刷(コスト感:★★★)
ビックリマンシールの様な四角が散りばめられたものから、柄のないものまで多彩なホログラムがございます。
ホログラム上への印刷は、カラー印刷だけですとホログラムの影響を受けてメタリックになってしまうため、基本的には印刷予定色+白が用いられることが一般的です。
ホログラムはフィルムタイプが想定されがちですが、若干廉価な紙タイプ(ホロペーパー)もございます。フィルムと比べると流石に光り方は劣りますが、インパクトを与える意味では非常に効果的ではないでしょうか。
積層加工(コスト感:★★★★)
コート紙へ積層した例。用途によって様々な様式が可能です。
2層、3層と重なったシールを作る加工です。
めくりクジの様な仕掛けや、透明のシール部分がめくれるギミックのような仕掛けが作れる楽しさを演出できます。
今回↑では透明シールを積層したサンプルをご紹介しておりますが、白や銀色のシールを積層することも可能です。
ロゴの注目度を上げるために、つい剥がしたくなってしまう積層の仕掛けを作ってみるのも面白いアイデアだと思います。
蓄光ラミネート加工(コスト感:★★★★★)
暗転するとこんな風に光を発する特殊フィルム。下地に印刷されていると浮き出たように見えます。
その名の通り光を蓄えて、暗がりに入った途端緑色に発光するシールです。
こちらはシールの表面に蓄光ラミネートという特殊なフィルムを貼り合わせることでどんな材料のシールにも加工可能。
際立って特殊な材料だけにコストは高いのですが、発光しはじめて30分ほど光り続けてくれるので、ノートPCの背面など沢山のロゴステッカーの中で目立たせたい場合などに効果的です。
暗がりの中で1点だけが光ってくれるので、サービスや会社のロゴに否が応でも目が止まります。
競合のロゴステッカーと隣り合わせて貼られる場合や、仕事終わりに自社サービスを見てもらいたいといったシーンを想定するのであれば、こちらの加工は長期的に貼ってもらう広告として考えれば費用対効果を生み出す手段ではないかと思います。
いかがでしたでしょうか?是非自社ロゴステッカーを作成される際は『そのステッカーは御社やサービスにとっての広告である』という視点を少しでも持って頂けましたら幸いです!
ご検討の際はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
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